愛媛の伝統菓子

愛媛のお菓子

愛媛には、県内産のみかんやレモン、柚子などの柑橘を使ったお菓子や、
長い歴史の中で、他国の文化を取り入れて発展したお菓子、
歴史や人々の願いが反映されたお菓子など、様々なものが生まれました。
時代を超えて今に伝わる、郷土のお菓子をご紹介します。

タルト(登録商標)

タルトは、久松家初代松山藩主・松平定行公(1587~1668)が、日本に来航したポルトガル人から教わったといわれています。カステラの中にジャムが巻かれた南蛮菓子を気に入った定行公は、その味と製法を松山に持ち帰りました。柚子餡を入れた現在のタルトは定行公が考案したとされています。その製法は後に久松家の家伝とされ、明治以降、松山の菓子司に技術が伝わりました。
『タルト』は昭和29年以降、愛媛県菓子工業組合が商標登録(第438676号)を行っており、当組合の加盟店、約100件が製造販売しています。

坊っちゃん団子

或る晩道後という所へ行って団子を食った…
夏目漱石の小説「坊っちゃん」の一説に出てくる団子屋は道後の老舗店がモデルになっています。
そのお店の2代目店主が、漱石が食べた「湯晒団子」から3色の「坊っちゃん団子」を考案しました。串にささった緑、黄色、茶色のお団子の中にはやわらかいお餅が入っています。今では愛媛・道後銘菓としていろいろなお店が坊っちゃん団子を作っています。

志ぐれ

和菓子には黄身しぐれや高麗時雨などがありますが、愛媛でしぐれといえばもちもち食感の『志ぐれ』です。小豆・米粉・餅粉・砂糖等を使用し、せいろで蒸して作ります。『志ぐれ』は江戸時代、参勤交代の折に大洲藩江戸屋敷内の秘伝菓子として伝えられ、以来百有余年、いろいろなお店で作られ、愛されています。

唐饅頭(とうまんじゅう)

「唐饅頭」「とうまん」とは、江戸時代の初めにオランダ人から製法を伝えられたとされる南予地方の代表的なお菓子です。饅頭という名前ですが、平べったい小判型の生地の中に柚子餡や黒糖餡を入れて、両面を香ばしく焼き上げたお菓子です。固めの生地は噛み応えがあり、お店によって生地の食感や中の餡が違うのでお気に入りのお店を見つけてください。

しょうゆ餅

江戸時代初期に久松家松山藩祖 松平定勝が、家臣の繁栄を願って、桃の節句にしょうゆ餅をつくり、分け与えたのが始まりとされています。(タルトを考案した松平定行は松平定勝の次男です)米粉と砂糖、醤油を使用した、柔らかく、もっちりとしたしょうゆ餅は松山を代表する餅菓子です。

組合員には、江戸時代、明治時代から続く老舗店も多く、
丁寧な仕事で地元に愛されるお店ばかりです。
日持ちのしない商品を作っているため、通信販売をしていないお店もあります。
どうぞ足を運んで頂き、お気に入りの味を見つけていただければと思います。